精神的余裕がないと感じるのは、私だけでしょうか?
プロモーション
監修者の石川蓮(公認心理師)先生より
精神的余裕がないとき、まず自分の性格を疑ってしまう方がいます。
ただ、その前に睡眠や仕事量が限界を超えていないか、見ておきたいところです。
今週ちゃんと眠れた日が何日あったか、指を折って数えてみてください。
責めるかどうかを決めるのは、それからでも遅くないと思いますよ。
30代女性(会社員・公務員)
最近、同僚に話しかけられただけで、返事がとげとげしくなってしまいます。
帰りの電車では明日のタスクを頭の中で並べ直していて、気づくと最寄り駅に着いているんです。
家に帰っても洗濯物はたまったままで、夫のなにげない一言にまで言い返してしまいました。
周りは同じくらい忙しくても穏やかに見えるので、精神的余裕がないのは私の性格のせいなのかなと考えてしまって。
このまま頑張り続けていいのか、どこかで立ち止まるべきなのか、自分ではもう判断がつかないんですよね。
ココラボ相談室からの回答
ご相談ありがとうございます。
小さな一言にまで反応してしまう自分に気づくたび、情けなさと疲れが重なっていきますよね。周りが平気そうに見えるほど、精神的余裕がないのは自分だけだと思えてきます。
この記事では、今の余裕のなさがどの段階にあるのかと、その段階に合った取り戻し方を一緒に整理していきます。
精神的余裕がないのは、心身が発しているサイン
余裕がない自分に気づくと、性格や根性のせいにしたくなるものです。けれど先に確かめたいのは、心と体にいま何が起きているかです。
精神的余裕とは何かを短く整理
精神的余裕とは、出来事と自分の気持ちのあいだに少しすき間がある状態です。困りごとを抱えながらも、次の一手を考えられる余力のことです。
時間やお金が足りていても、余裕がない日はあります。反対に、忙しくても落ち着いていられる日もあります。余裕の量は、予定の量だけでは決まりません。
疲れの溜まり具合や出来事の受け止め方によって、同じ一日の重さも変わります。
余裕がないときに出やすい心と体の変化
余裕が減ってくると、まず気持ちの面に変化が出ます。些細な言葉にイライラする、涙もろくなる、集中が続かないといった変化です。
体にも表れます。寝つけない、夜中に目が覚める、肩や首がずっとこわばっているといった状態です。
行動に出る人もいます。部屋が片づかない、返信を後回しにする、人と会うのを避けるといった形です。
- 以前なら流せた一言に、強く言い返してしまう
- 休日も仕事のことが頭から離れない
- 食事や身支度を最低限で済ませている
- 好きだったことに気持ちが動かない
当てはまる数を競う必要はありません。以前の自分と比べて変わった点に目を向けると、今の状態がつかみやすくなります。

▼関連記事
過緊張で仕事ができないのはなぜ?頭が回らず体もこわばってつらい
ご相談ありがとうございます。 気を張り続けて頭も体も休まらないまま毎日を過ごしていると、それだけで消耗してしまいますよね。仕事ができないのを自分の弱さのせいにし…
URL:https://kokolaboratory.com/qa-5068/
私だけではないと知っておく
周りが平気そうに見えると、自分だけが弱いように感じます。ただ、働く人の負担を数字で見ると、印象は少し変わります。
参考になるのが、厚生労働省の令和5年労働安全衛生調査です。仕事で強いストレスを感じる労働者は82.7%にのぼりました。内容は仕事の失敗や責任の発生が39.7%、仕事の量が39.4%と続きます。
穏やかに見える同僚も、表に出していないだけの場合があります。余裕のなさは、個人の欠点というより負荷のかかり方の結果です。そう捉えると、次の手を考えやすくなります。
監修者の石川蓮(公認心理師)先生に相談してみませんか?
精神的余裕を失う原因と今の段階の見極め
余裕を失う理由は、ひとつに絞れないことがほとんどです。外からの負荷と自分の中の癖、変えようのない環境が重なって起きています。
仕事・家事・お金など環境の負荷
仕事量が処理できる量を超えると、工夫しても追いつかない時期が来ます。そこに家事や育児、介護が重なれば、休む時間そのものが削られます。
お金の不安も、静かに余裕を奪います。給料日前の残高や将来の出費が頭の片隅にあると、休日でも気持ちが休まりません。
睡眠不足や空腹といった体の状態も見逃せません。同じ出来事でも、寝不足の朝はずっと重く感じられます。

完璧主義や自分を後回しにする癖
同じ量の仕事でも、余裕を失う人と保てる人がいます。差が出やすいのは、ここまでやれば十分という基準の高さです。
完璧主義の人は、すべてを同じ重さで仕上げようとします。優先順位をつけると手を抜いたように感じ、結果として全部を抱え込みます。
頼まれると断れない人や、自分の休憩を最後に回す人も同じ流れにはまります。「私がやった方が早い」と引き受けるたびに、自分のための時間が減っていきます。
真面目に頑張っている時期ほど、余裕は気づかないうちに削れていきます。
▼合わせて読みたい
先延ばし癖は完璧主義のせいでしょうか、締め切り直前まで動けない自分が怖いです
ご相談ありがとうございます。 締め切りが近づくほど動けなくなる自分を、何度も責めてこられたのだと思います。完璧に仕上げたい気持ちと、手が止まってしまう現実の間で…
URL:https://kokolaboratory.com/qa-6182/
工夫では変えられない要因もある
職場のパワーハラスメントは、考え方の工夫では解決しません。明らかに一人では回らない業務量も同じです。厚生労働省のあかるい職場応援団は、パワハラの類型を示しています。精神的な攻撃や過大な要求も、その中に含まれます。
こうした環境にいるなら、環境のほうを変える・距離を取ることが先です。上司や人事、社内外の窓口に、日付入りの記録を持って相談する方法があります。

自分の努力不足だと思い込むほど、その場から離れる判断が遅れます。
守る・整える・つくる、どの段階か
今の自分がどの段階にいるかで、取るべき行動は変わります。目安として、次の三つに分けて考えます。
- 守る段階:眠れない日や食べられない日が続き、朝起き上がれない。休む、離れる、相談するが先
- 整える段階:少し休めて、状況を振り返れるようになってきた。変えられることを分けて考える
- つくる段階:大きな危機はなく、忙しさに流されている。予定や習慣の工夫が効く

守る段階で工夫を重ねようとすると、できない自分を責める材料が増えます。今の自分にどの段階の方法が合うかを先に決めておくと、次の章の読み方も変わります。
精神的余裕を取り戻す・つくる対処ステップ
段階が見えてきたら、具体的な行動に移ります。守る段階の人は最初の項目だけで十分で、残りは回復してからで構いません。
まずは休む・減らすことから
余裕がないときに新しい習慣を足そうとすると、負担がかえって増えます。最初にやるのは、足すことより減らすことです。
今週の予定を書き出し、やらなくても困らないものに線を引いてみてください。夕食を総菜にする日を決める、返信は翌朝にまとめる。その程度の手抜きで構いません。
休むことに罪悪感がある人ほど、疲れを感じる前に休むほうが長く持ちます。一時間に一度は席を立つなど、時間で区切って休憩を入れる方法もあります。

時間・空間・お金の余裕を少しずつ
余裕は、時間・空間・お金という三つの面から整えると手をつけやすくなります。一度に全部ではなく、いちばん手が届きそうなものから選びます。
時間なら、予定と予定のあいだに何もしない枠を入れます。空間なら、机の上や玄関など目に入る一か所だけを片づけます。
お金は、毎月の固定費を一つ見直してみます。漠然とした不安が、具体的な数字に変わります。
完璧に整えることより、一か所でもすき間ができた感覚を確かめるのが目的です。机の上が片づいた日の夜、寝つきがどう変わったかを見ておきます。その違いが、次に何を整えるかの手がかりです。

受け止め方をゆるめるコツ
整える段階まで来たら、出来事の受け止め方にも目を向けられます。認知行動療法では、そのとき浮かぶ考えが気分を左右すると捉えます。出来事そのものだけが原因ではない、という見方です。
ミスをした瞬間に「また迷惑をかけた、もう信用されない」と浮かんだとします。その考えを、一度紙に書き出してみてください。書いた考えを眺めて、事実と推測を分けていきます。

ミスをしたのは事実でも、信用されないというのは推測の部分です。推測に気づけると、同じ出来事でも重さが一段違って見えます。
頭の中だけで整理しようとすると、考えは同じところを回り続けます。書く、話すといった外に出す作業を挟むと、堂々巡りを止めるきっかけになります。
監修者の石川蓮(公認心理師)先生に相談してみませんか?
精神的余裕がない人との接し方
家族や同僚に余裕がない様子が見えると、どう関わればいいか迷います。本人向けの対処とは別に、周りにいる人ができることもあります。
責めずに適度な距離を保つ
ピリピリしている相手に理由を問いただすと、責められたと受け取られがちです。正論を伝えたくなっても、相手が落ち着くまでは控えるほうが安全です。
八つ当たりが続く場合は、距離を取ってかまいません。話題を変える、その場を離れるといった形です。相手を支えることと、自分がすり減ることは別の話です。
関わる側の睡眠や休みも確保しておくと、長い期間でも付き合い続けられます。
見守るときに伝えたい一言
見守るといっても、何も言わないままだと突き放されたと感じる人もいます。声をかけるなら、相手の行動より状態に触れる言葉が向いています。
たとえば「最近忙しそうだけど、何か手伝えることある?」と聞く方法。選ぶ余地を相手に残せる聞き方です。断られても気にかけていることは伝わり、相手が頼るときの入り口になります。

仕事上の注意が必要なときは、相手の作業に区切りがついたタイミングを選びます。忙しさの最中に伝えると、内容より口調のほうが記憶に残ります。
精神的余裕が続かないときの相談先
休んでも戻らない状態が続くなら、一人で立て直そうとしないほうがいい時期です。相談を考える目安と、具体的な窓口を挙げておきます。
相談を考えたい体調のサイン
次の状態が二週間以上続くなら、医療機関や専門家への相談を考えてみましょう。
- 寝つけない、夜中や早朝に目が覚める日が続く
- 食欲が落ちた、または食べ過ぎてしまう
- 朝どうしても起き上がれず、遅刻や欠勤が増えた
- 理由もなく涙が出る、何をしても楽しくない
これらは、うつ病や適応障害など治療の対象になる状態と重なる場合があります。診断の代わりではなく、相談するかを決めるための目安として使ってください。

消えてしまいたい気持ちがよぎるときは、期間を待たずに相談してください。
一人で抱えずに頼れる相談先
最初の相談先として、かかりつけ医や心療内科、精神科があります。体の不調が強いときは、内科で相談して紹介を受ける方法も取れます。
話を聞いてもらいたい段階なら、電話窓口も使えます。ひとつは、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)です。よりそいホットライン(0120-279-338)は二十四時間つながります。

働く人向けの窓口は、厚生労働省のこころの耳にまとまっています。電話やSNSで相談できる先も載っています。カウンセリングで気持ちを言葉にしていくのも、選択肢のひとつです。
▼関連する記事
カウンセリングでは何をするのか、初めてで話す内容も進め方もわからない
ご質問ありがとうございます。今すぐ大きな悩みがあるわけではない。でも、もしつらくなったらどうしよう。そう考えるのは、実はとても自然なことです。あなたと同じ気持ち…
URL:https://kokolaboratory.com/qa-1428/
精神的余裕がない今の状態を、どの段階か判断できないまま話しても構いません。話しながら負荷の大きさを並べ直すと、休むか続けるかを決める材料がそろいます。