リスカを学校の先生に言うと、どんな対応をされて親にはどこまで伝わるの?

監修者の石川蓮(公認心理師)先生より

リスカを先生に打ち明けるのは、本当に勇気がいることだと思います。

言えば親に伝わるのでは、と身構える子を、たくさん見てきました。

対応は先生ごとに差があるので、誰に何を話すかを一緒に選べたら十分です。

まずは傷の手当てと、あなたの安全が先。

そこだけは忘れないでくださいね。

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10代女性(学生)

最近、しんどくなると手首を切ってしまいます。長袖で隠していますが、着替えのときにいつ気づかれるか落ち着きません。

担任になら少し話せそうな気もします。でも言えば親に全部伝わって、大ごとになりそうで怖いです。

気づいてほしいのに、放っておいてほしい。自分でもよく分かりません。

ココラボ相談室からの回答

ご相談ありがとうございます。

言うのが怖いのに、気づいてほしい。その気持ちが両方あるのは、迷っている途中だからだと思います。

このページでは、リスカを学校の先生に言うと実際にどんな対応をされて、親にはどこまで伝わるのかを、分かる範囲で整理します。全部話すか黙るかの二択ではなく、自分で選べる余白があることも一緒に見ていきます。

言うのが怖いと感じるのは自然なこと

先に、気持ちのほうから触れさせてください。

言いたいのに言えないのは、あなたが弱いからだと思わなくていいんです。

まずは、その迷いがどこから来るのかを見ていきます。

自傷は苦痛に耐えるための行動

リストカットは、死にたいという意味だけで起きるわけではありません。

精神科医の松本俊彦さんは、自傷をこう説明しています。耐えがたい苦痛に、ひとりで耐えるための対処法である、と。

つまり、つらさをその場でしのぐための行動という面があります。

だから、かまってほしいだけと片づけられるものではないんです。

むしろ、人に迷惑をかけたくなくて一人で抱えている場合が多いと言われます。

切ることでしのいでいる何かがある、という前提で読み進めてもらえたらと思います。

ただ、その場でしのげてしまうぶん、つらいたびに手が伸びやすくなる面もあります。

これは意志が弱いからではなく、逃がし方がそれしかない状態だからです。

だから、切る以外の逃がし道を少しずつ増やす、という方向で一緒に考えていきます。

言うか迷う自分を責めなくていい

気づいてほしい。でも、放っておいてほしい。

この二つは、同時にあってかまいません。

どちらかが正しくて、どちらかが間違い、というものでもないからです。

先生に言えて楽になった人もいれば、後悔した人もいます。

苦痛を一人でしのいでいるときは、逃がし方の選択肢を少しずつ増やすことが大切です。
苦痛を一人でしのいでいるときは、逃がし方の選択肢を少しずつ増やすことが大切です。

迷うのは、あなたが自分の安全を本気で考えている証拠でもあります。

どちらを選んでも、あとから選び直せます。

すぐに答えを出さなくていいので、迷ったまま次を読んでみてください。

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リスカを学校で伝えると、先生はどう対応するのか

実際に何が起きるのかを、分かる範囲で追っていきます。

学校の対応は先生ごとに幅がありますが、動き方にはある程度の型があります。

関わる人の顔ぶれから整理します。

担任・養護教諭・スクールカウンセラーの役割

リスカを学校で打ち明けると、多くの場合は一人の先生だけで終わりません。

担任がまず話を聞き、傷の手当てや体調は養護教諭(保健室の先生)が受け持ちます。

心の相談は、スクールカウンセラーにつながる流れもあります。

これは、あなたを大ごとにしたいからではないんです。

一人の先生が抱え込むと対応が偏るため、役割を分ける仕組みになっています。

担任、養護教諭、スクールカウンセラーでは、できることや距離感が少しずつ違います。

とくにスクールカウンセラーは、成績や指導とは切り離された立場で話を聞く人です。

たとえば、担任には話すけれど保健室の先生とは会いたくない。そういう希望も、伝えて大丈夫です。

誰に何を話すかを、自分の希望として伝えていいことは覚えておいてください。

担任、養護教諭、スクールカウンセラーが役割を分けることで、一人の先生だけに負担が集中するのを防ぎます。
担任、養護教諭、スクールカウンセラーが役割を分けることで、一人の先生だけに負担が集中するのを防ぎます。

「先生による」と言われる理由

体験談を読むと、「先生による」という言葉が何度も出てきます。

実際、すぐ親に伝える先生もいれば、約束を守って待ってくれる先生もいます。

対応がここまで割れるのは、自傷への理解や経験が先生ごとに違うからです。

体験談では、学校で切ったことが伝わって親に連絡された、という声も見かけます。

逆に、親に言わないでほしいと頼んで、黙っていてくれた、という声もあります。

なので、話す相手は優しそうかどうかだけで選ばなくてもかまいません。

できれば、親に伝えるかどうかを先に説明してくれる先生だと安心です。

これは誰に伝わるの、と最初に聞いておくと、見通しが立ちやすくなります。

保健室でできる手当てと相談

保健室は、傷の手当てを頼める場所です。

理由を全部話さなくても、手当てだけお願いします、と言っていいんですよ。

養護教諭は、体のケアを入り口にして話を聞くことに慣れています。

保健室では、理由をすべて話さなくても、体の安全と今のつらさから相談できます。
保健室では、理由をすべて話さなくても、体の安全と今のつらさから相談できます。

授業がつらいときの休憩や、保健室登校の相談ができることもあります。

教室に入れない日に、少し息を抜ける居場所として使う人もいます。

記録が残る場合もありますが、それは次に会ったときに支援を引き継ぐためです。

まずは体の安全を確保する場所として、頭の片隅に置いておいてください。

親にはどこまで伝わるのか

いちばん怖いのは、この部分かもしれません。

親に伝わるかどうかは、状況によって変わります。

断定はできませんが、傾向として分かることを書きます。

保護者に連絡されやすいケース

体験談を見ると、連絡の有無にはいくつかの分かれ目があります。

学校の中で切ってしまった場合や、傷が深い場合は連絡されやすい傾向があります。

繰り返している、命に関わりそう、と受け取られたときも同じです。

傷が浅く、頻度も落ち着いている場合はどうか。すぐには連絡せず、様子を見る対応もあります。

東京都教育相談センターは、教職員向けの模擬事例の中で一つの見解を示しています。

自傷が続くなら、本人を説得したうえで保護者に連絡する、という考え方です。

つまり連絡は、その日すぐとは限りません。本人と話す時間をとってから、という場合が多いようです。

連絡そのものも、あなたを困らせるためではなく、命を守る手続きとして行われます。

保護者への連絡は、安全を確かめ、本人と話したうえで必要性を判断する流れが基本です。
保護者への連絡は、安全を確かめ、本人と話したうえで必要性を判断する流れが基本です。

内申や進級への影響は限定的

リスカがバレたら内申に響くのでは、と不安になる人もいます。

ただ、自傷そのものが成績や内申を直接下げる材料になることは、基本的にありません。

学校は基本的に、罰する対象ではなく心配な状態として受け止めます。

進級や出席の扱いも、休んだ日数について相談できる余地があります。

体調で欠席が増えるなら、保健室登校といった形が検討される場合もあります。

むしろ状態を早めに共有できると、無理のない登校の形を相談しやすくなります。

一人で結論を出す前に、使える制度を先生と確認してみてください。

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話す前後にできる小さな選択

できることは、大きな決断に限りません。

話す前にも後にも、自分を守る小さな選択があります。

順番に見ていきます。

まず傷の手当てを優先する

何よりも先に、傷の手当てです。

心理士の半田一郎さんは、大人の関わり方についてこう書いています。自傷を知ったら、まず手当てをしたかどうかを聞くところから始めるとよい、と。

理由を話すより、体の安全が先、という順番なんです。

手当てをして傷をケアすること自体が、自分を大事にする小さな一歩になります。

深い傷、血が止まらない、意識がぼんやりする。

このときは、話すかどうかより先に、救急や医療機関を頼ってください。

気持ちの説明より前に、まず体を落ち着け、必要な手当てと安全確保を優先してください。
気持ちの説明より前に、まず体を落ち着け、必要な手当てと安全確保を優先してください。

迷ったら119番でもかまいません。

全部言わずに一部だけ伝える

話すか黙るか、の二択で考えなくていいんです。

しんどいとだけ伝える、傷のことは言わずに手当てだけ受ける。

そんな段階的な伝え方も、りっぱな一歩です。

いきなり全部を打ち明ける必要はありません。

しんどい、とだけ書いた手紙を渡した人もいます。

今日はここまで、と自分でブレーキをかけていい。

話す範囲を選ぶ権利は、あなた自身にあります。

叱責や無視をされたときの対処

勇気を出したのに、怒られたり流されたりすることもあります。

精神科医の明橋大二さんは、叱責と無視はどちらも逆効果だと指摘しています。

もしそう対応されても、あなたの伝え方が悪かったわけではないんです。

その先生とは合わなかっただけ、と考えていい。

別の先生や、校外の窓口に切り替えるという手もあります。

一度の反応で、相談すること自体をあきらめないでほしいと思います。

一人の大人にうまく受け止めてもらえなくても、自分を責めずに別の相談先へ切り替えてかまいません。
一人の大人にうまく受け止めてもらえなくても、自分を責めずに別の相談先へ切り替えてかまいません。

思った対応と違ったときの立て直し方

何も言ってこなかった、と戸惑う人もいます。

気づいていて、あえて触れずにいる先生もいます。

反応がないことは、拒否とは限りません。

思った対応と違ったら、もう一度伝え直していいんですよ。

この前の話、もう少し聞いてほしい、と言い直すのはわがままではありません。

すぐに言い直せなくても、日を置いてからでかまいません。

伝え方はやり直せる、と知っているだけで、少し肩の力が抜けます。

家庭が不安なときの相談窓口

家がしんどい場合の話も、しておきます。

親に伝わること自体が危険なケースは、確かにあります。

そのときの別ルートを用意しておきましょう。

家が安全でないときの別ルート

親から暴力を受ける、強く責められる。

そんな家庭では、親への連絡がそのまま危険につながることもあります。

その場合は、家庭を通さないルートを先に使ってかまいません。

学校のスクールカウンセラーや、校外の相談機関に直接つながる方法があります。

児童相談所も、家庭の安全そのものを相談できる場所です。

校外の窓口は、話した内容がそのまま学校や家庭へ伝わる仕組みにはなっていません。

まず外で気持ちを整えてから、校内で誰に話すかを決める順番でもいいんです。

家が安全でないと感じるなら、それを窓口で最初に伝えてください。

家庭に知られることが危険につながるなら、その危険を最初に伝え、家庭を通さない経路を選べます。
家庭に知られることが危険につながるなら、その危険を最初に伝え、家庭を通さない経路を選べます。

誰にも言わずに使える窓口

次のようなサインが出ているときは、一人で抱えないほうが安全です。

  • 切る回数が増えている、傷が前より深くなっている
  • 死んだほうがマシ、という考えが浮かぶ
  • 眠れない、食べられない日が続いている
  • 家で暴力や強い叱責を受けている

学校の人に知られたくないときは、外の窓口が使えます。

文部科学省の24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)があります。夜でも無料でつながります。

名前を言わずに話せますし、電話が苦手ならチャイルドラインのチャットも選べます。

つながったからといって、必ず学校や親に伝わるわけではありません。

どこまで知られるのが不安かを、窓口の人へ最初に話しておくと安心です。

匿名の窓口では、どこまで知られるのが不安かを最初に伝えながら、自分の速度で話せます。
匿名の窓口では、どこまで知られるのが不安かを最初に伝えながら、自分の速度で話せます。

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一人で抱えている時間が長いほど、切ることでしのぐ習慣は強くなりがちです。

だからこそ、匿名で使える場所を一つ知っておいてください。いざというときに、動きやすくなります。

今日は読んだだけでも、十分に前へ進んでいます。

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監修者: 石川蓮(公認心理師)

公認心理師、行動心理士。1997年生まれ。北里大学・大学院卒業。その後、公認心理師と行動心理士の資格取得。
在学中は高齢者や生産人口の色覚異常や朝型夜型特性が睡眠に与える効果等の研究を行う。
大学院卒業後、大学病院附属の研究所にてカウンセリングやデータマネジメント担当として勤務。また、都立高校の心理学講師としても勤務。
「心の悩みを持つ方のそばに寄り添う」をモットーに業務遂行しております。

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